国際連語論学会2017年3月例会のお知らせ

 国際連語論学会3月例会は3月18日(土)に開催いたします。皆様におかれましては奮ってご参加ください。

日時
2017年3月18日(土)13:00~15:30
場所
|大東文化会館k-401
ヒト
高橋弥守彦
題名
日中両言語における副詞の位置

要旨

 日中両言語の語順の問題から言えば、日本語は中国語より語順が緩やかである。この根本的は原因は日本語が多形体言語であり、中国語が単形体言語であることに由来している。両言語の違いは形態変化にある。日本語は多形体言語なので形態変化がある。日本語は形態変化があるので、文中における格付き名詞の位置や動詞と動詞との連用が比較的緩やかである。

 日本語の副詞は固定していて形態変化がないのが原則である。しかし、文中における位置は比較的自由である。日本語の副詞は形体が固定しているので、どの位置におかれても副詞であることが分かるからである。中国語は漢字だけで表現する言語なので、語順に規則性があり、語順の縛りがきつくなっている。

 

国際連語論学会2017年2月例会のお知らせ

 国際連語論学会2月例会は2月25日(土)に開催いたします。皆様におかれましては奮ってご参加ください。

日時
2017年2月25日(土)午後1:30~
場所
大東文化大学板橋校舎1号館5階517教室(パソコン室の隣り)
研究発表
“把”構文中の副詞の位置について――副詞“都”と“也”を中心に
発表者
小路口ゆみ

file発表要旨

 

国際連語論学会2017年1月例会のお知らせ

 国際連語論学会1月例会は1月21日(土)に開催いたします。皆様におかれましては奮ってご参加ください。

日時
2017年1月21日(土)午後1:30~4:00 
場所
大東文化大学板橋校舎1号館5階516教室(パソコン室の隣り)
研究発表
『北京官話今古奇観』における“把”構文について
ひと
小路口ゆみ(大東文化大学中国言語文化学専攻)

要旨

 『北京官話今古奇観』(以下『今古奇観』と略称)の第一編は金國璞が明治37年(1904年)に抱甕老人の『今古奇観』を清末当代の北京官話に書きかえたものである(六角:P92)。この第一編には、原本『今古奇観』の<第十六回 李汧公窮邸遇俠客>(略称<李>)と<第三十六回 十三郎五歲朝天>(略称<十三郎>)の二篇が収められている。『今古奇観』の第二編は明治44年(1911年)に書きかえられ、原本の<第十三回 沈小霞相會出師表>(略称<沈>)と<第二十九回 懷私怨狠僕告主>(略称<懷>)の二篇が収められている。本発表では、この第一編と第二編を対象とし、“把”構文を調査・分析する。これらを調査・分析することによって、“把”構文がどのような特徴をもっていたか、どのように使用されていたか、明確にすることが出来る。それは“把”構文の変遷を追究するための基本資料として、役に立つことが期待できる。なお、本発表で用いる言語資料は不二出版発行『中国語学資料叢刊』第一巻に影印されているものである。本資料における“把”構文は全部で506例あり、<李>には167例、<十三郎>には96例、<沈>には119例、<懷>には124例あったが、<十三郎>には“将”構文が6例あった。これらの“把”構文を調査・分析することによって、以下の二点を明らかにしたい。

①“把”構文の文構造について

②“把”構文における副詞・能願動詞の位置について

 

国際連語論学会2016年12月例会のお知らせ

 国際連語論学会12月例会は12月17日(土)に開催いたします。皆様におかれましては奮ってご参加ください。

日時
2016年12月17日(土)13:00~14:30
場所
大東文化大学板橋校舎1号館5階1-0517教室(パソコンルームの隣り)

研究発表

ヒト
小路口ゆみ(大東文化大学博士後期課程)
テーマ
“把”構文における可能表現について
要旨
filePDF参照
 

国際連語論学会2016年11月例会のお知らせ

国際連語論学会11月例会は担当校の都合で開催できませんでしたので、12月3日(土)に開催する運びとなりました。皆様におかれましては奮ってご参加ください。

日時
2016年12月3日(土)13:30~16:00
場所
大東文化大学板橋校舎1号館5階1-0517教室(パソコンルームの隣り)

研究発表

ヒト
高橋弥守彦(大東文化大学)
テーマ
位置移動の動詞“下+空间词”について

要旨

位置移動の動詞“下”には、次の例文に見られるように「下りる、降りる、入る」などの意味がる。“下”の客体の中には、もの名詞“船”もある。

我从这条路下山。/私はこの道を通って山を下りる。(『白水社』p.1549)
下了船就上火车。/船から降りるなりすぐ汽車に乗る。(『白水社』p.1549)
厂长下车间了。/社長が(視察・調査のために)生産現場に入った。(『白水社』p.1549)

もの名詞“船”がなぜ上記の文中では場所を表す客体の位置に置くことが出来るのか。連語の中に現れるこれらの動詞や名詞の多義的意味について本発表では述べる。 

本発表ではまず文法面における連語論の位置を明らかにすると同時に、連語論の観点から位置移動の動詞“下”と空間詞の多義性を分析し、なぜ“下”およびそれとくみあわさる名詞が連語の中で意味変化するのかを明らかにする。 

講演

ヒト
鈴木康之(大東文化大学名誉教授)
テーマ
コトバのしくみの原理・原則
要旨
「言語資料収集」の重要さと「言葉は現実を反映する」という観点と「言葉の体系」から連語論について述べる。
 

国際連語論学会2016年10月例会のお知らせ

日時
2016年10月15日(土)13:00~15:00
場所
大東文化会館K-403

研究発表

ヒト
神野智久(大東文化大学・博士後期課程)
テーマ
“进”フレーズ再考

要旨

 「“进”フレーズ(jin phrase)」を捉えなおすことを目的とする。“进”フレーズとは、次の(1)を指す。対応する例(2)と共に参照されたい。

(1)a.経路・方向性を表す動詞     +             直示
         (“进”)             +      (“来”/“去”)
    b.付随要素  +  経路・方向性を表す動詞  +   直示   
      (動詞)              (“进”)        (“来”/“去”)
(2)a.部队进了村了。(吕叔湘主编(1998:206 ))
   (部隊は村へ入った。)((牛島・菱沼監訳(2003:185))
    b.兔子把树叶衔进洞里去。(吕叔湘主编(1998:162))
   (ウサギは木の葉を口にくわえて穴の中へ入れた。)
                       (牛島・菱沼監訳(2003:208))

 “进”は外から内への移動を表す動詞としてだけでなく、(1b)(2b)のように、外から内への移動に伴う原因や手段を表す付随要素を前置することも可能である。本稿では、(1a)を“进”フレーズ①、(1b)を“进”フレーズ②と呼ぶ。“进”フレーズのような構造は、吕叔湘主编(1998:38)では“动趋形动词(動趨形動詞)”、朱德熙(1982)、刘月华主编(1998)では、動詞に後置される“进”は“趋向补语”(方向補語)と呼ばれている。特に刘月华主编(1998)は、方向補語とそれに前置する動詞を体系的にまとめ、現代中国語における移動表現を研究する上で欠かすことができないと言っても過言ではない。そこで本稿は、言語類型論(田中・松本(1998))と認知言語学(Johnson(1987))の観点から、刘月华主编(1998)に検討を加え、その上で次の2点を重点的に分析する。

(3)a.“进”フレーズにおける動詞の分類
    b.“进”フレーズにおける“进”の意味拡張の動機づけ(motivation)
 

国際連語論学会2016年9月例会のお知らせ

日時
2016年9月17日(土)13:30~16:00
場所
大東文化会館K-403 (東武東上線東武練馬駅より徒歩4分)

研究発表

ヒト
小路口ゆみ(大東文化大学・博士後期課程2年)
テーマ
“把+空間詞”の“把”構文について

要旨

“把”構文の構造は「名詞1+“把”+名詞2+動詞+その他」であり、その中「名詞2」は空間詞である場合、本発表では、「“把”+空間詞」の“把”構文と言い、これは“把”構文の中において特殊な“把”構文である。呂叔湘主編(2010:53~56)には以下の例(1)、(2)、(3)のように“表示动作的处所或范围。”と主張している。

(1)把东城西城跑遍了。(呂叔湘2010:54)
     東城西城を全て回った。(筆者訳)
(2)把个北京城走了一多半。(呂叔湘2010:54)
     北京を半分以上歩きまわった。(筆者訳)
(3)你把里里外外再检查一遍。(呂叔湘2010:54)
     中と外をもう一回チェックしてください。(筆者訳)

 この種類の“把”構文の“把”の客体である“东城西城”、“北京城”、“里里外外”はすべで空間詞であり、それぞれの動詞“跑”、“走”及び“检查”の動作する場所或は範囲である。本発表には実例を考察・分析し、それに基づき、以下のいくつの点を明らかにする。

  • ➀この種類の“把”構文の語義・語用
  • ➁この種類の“把”構文と“在字句”の異同

国際連語論学会2016年7月例会のお知らせ

日時
7月16日(土)13:30~16:00(予定)
場所
大東文化大学板橋校舎1号館5階10517教室(東上線東武練馬駅下車、大東文化会館より学バス約6分)
研究発表
①:劉爾瑟(“被字句”における構造助詞“的”を用いる受け手主語について」)
②:張岩紅(連語論から見る「格付き空間詞+~ていく」の構造と意味)
講演
鈴木康之「連語論研究の原則」

file詳細PDF

 

国際連語論学会2016年6月例会のお知らせ

日時
6月18日(土)13:30~16:00(予定)
場所
大東文化大学板橋校舎1号館5階517教室(パソコン室の隣り)
研究発表
神野智久(大東文化大学博士後期課程3年)
「現代中国語における移動事象について」
講演
鈴木康之(大東文化大学名誉教授)
「奥田靖雄著作集5〈国語教育論〉について」

研究発表要旨

 移動事象に関する言語類型論の研究の大きなテーマとして、動詞にどのような要素が包入(もしくは語彙化)されているかが挙げられる。例えば、日本語の例(田中・松本(1998))を見てみよう。

(2)a.様態(自主移動):歩く、走る、駆ける、這う、滑る、転がる 
    b.付帯変化(自主移動):とれる、ちぎれる、はがれる、抜ける
    c.手段(使役移動):投げる、ほうる、蹴る、打つ

 そこで本稿では、田中・松本(1998)を基に、中国語の動詞にどのような要素が包入されるかを分類する。

 

国際連語論学会2016年5月例会のお知らせ

日時
5月21日(土)13:30~16:00
場所
大東文化大学板橋校舎1号館5階517教室(パソコン室の隣り)
研究発表
神野智久(大東文化大学博士後期課程3年)
講演
鈴木康之(大東文化大学名誉教授)

研究発表テーマ:容器のスキーマについて

発表時間
13:30~15:00

要旨

本発表では、身体性(embodiment)という観点から次の問題を解決する。

  1. “他投出了一百米”の“出”は何を表すか?
  2. “他看不进书”の“进”は何を表すか?
  3. “出”の状態変化義は、なぜ“进”よりも多いのか

講演テーマ:当初の言語学研究会の研究姿勢

講演時間
15:00~16:00
 

国際連語論学会2016年4月例会のお知らせ

日時
2016年4月16日(土)午後1:30~4:00 
場所
大東文化大学板橋校舎1号館5階516教室(パソコン室の隣り)
研究発表
神野智久(大東文化大学大学院外国語学研究科中国言語文化学博士後期課程)
「“进”と“出”の非対称性について―認知言語学の観点から―」
講演
鈴木康之(国際連語論学会名誉会長、大東文化大学名誉教授)
「わたくしの言語学研究の原則」

研究発表概要

「起点からの移動」は、「着点への移動」と比して有標的であることについて、夙に池上嘉彦(1981)が指摘している。いわば「着点バイアス(goal bias)」は、日本語に限らず、池上は、言語類型論の観点から様々な言語を取り上げ、「着点への移動」と「起点からの移動」には非対称性が見られることを指摘している。そこで、本稿は、現代中国語(Modern Chinese)の“进”と“出”が用いられた形式を対象に、非対称性を概観する。その上で、これら非対称性を認知言語学の観点から分析を行う。

 

国際連語論学会2016年3月例会のお知らせ

日時
2016年3月19日(土)13:00~15:30(予定)
場所
大東文化会館K-403 (東武東上線東武練馬駅より徒歩4分)
研究発表
高橋弥守彦「体系から見る文と連語との対応関係」
講演
鈴木康之「連語論研究の原則」

研究発表

ヒト
高橋弥守彦(大東文化大学)
テーマ
体系から見る文と連語との対応関係

要旨

 現実の世界と言葉の世界との関係はヒトの認識と思考とによって関係づけられるが、両者の関係は「はじめに現実ありき」である。一つの現実は焦点の当て方によっていろいろな種類の文で表現できる。文は単語と連語とによって作られるが、伝統的な中国語は漢字だけで表現する単形体言語なので、単語レベルでのヴォイスの体系がない。日本語は漢字・平仮名・片仮名で表現する多形体言語なので、単語レベルでもヴォイスの体系がある。

 一つの現実に対し、一つの文の体系を作る各種類の文の核は出来事を現す連語である。中日両言語では単語レベルの体系の有無によって、単語レベルの比較はできないが、連語レベルと文レベルには、それぞれ体系があるので、対照研究が可能である。本稿では出来事を表現する文の核となる文と連語との関係を明らかにし、なぜ各種類の文が必ずしもその種類の文で訳されないのかを明らかにしている。

講演

ヒト
鈴木康之(国際連語論学会名誉会長、大東文化大学名誉教授)
テーマ
連語論研究の原則
 

国際連語論学会2016年1月例会のお知らせ

日時
2016年1月23日(土)午前9時10分~12時00分(予定)
場所
大東文化大学板橋キャンパス1号館5階0517演習室(パソコン室の隣り)
東武東上線東武練馬駅下車 大東文化会館より「学バス」約7分
研究発表
神野智久「現代中国語研究における認知言語学」
講演
鈴木康之「名づけ的なしくみとしての連語」

研究発表

ヒト
神野智久(大東文化大学博士後期課程2年)
テーマ
「現代中国語研究における認知言語学」
要旨
現代中国語研究における認知言語学的アプローチは、まだ萌芽期にあるといってもいい。そのため、いわゆる認知言語学的アプローチには、改善すべき余地が多いに残されている。Langacker(2008)に基づいて先行研究を批判的に検討し、いま一度、認知言語学の意義を確認する。

講演

鈴木康之「名づけ的なしくみとしての連語」

 

国際連語論学会2015年12月定例月例会のご案内

時間
12月19日(土)13:00~15:30
場所
大東文化会館k-402

ヒトとテーマ

研究発表

小路口ゆみ(大東文化大学博士後期課程1年)

「清代の中国語における“把”構文の変遷について——『新刊清文指要』と『語言自邇集』を中心に」

発表時間:13:00~14:30

研究発表概要

 『新刊清文指要』(1818年)は100話からなる満州語の会話書『Tanggu meyen』(乾隆15年(1750)刊」を改編し、満州語と中国語の対訳版としたものである。その後『初學指南』(1794)、『三合語録』(1829年)が出版され、さらには『新刊清文指要』の中国語の部分がトーマス・ウェイドによって『語言自邇集』(1867年)の中の「談論編一百章」に中国語の教材として編纂された。

 『新刊清文指要』(1818年)における“把”構文(“将”構文も含む)は75例あり、『語言自邇集』(1867年)の「談論編一百章」における“把”構文(“将”構文も含む)は57例ある。また、両資料には、類似する“把”構文が36例ある。『新刊清文指要』(1818年)と『語言自邇集』(1867年)の「談論編一百章」の内容はほぼ変わらず、それぞれの時期の言葉を反映している。そのため、この二つの言語資料に基づき、お互いを照らしあわせ比較すると、1818年から1867年の五十年間に“把”構文がどのように変遷したのかが判明すると思われる。

講演

鈴木康之(大東文化大学名誉教授)

「構文論と連語論」

講演時間:14:30~15:30

 

国際連語論学会2015年11月定例月例会のご案内

時間
11月14日(土)午前9時10分~10時40分(予定)
場所
大東文化大学板橋キャンパス1号館5階0517演習室(パソコン室の隣り)

ヒトとテーマ

研究発表

小路口ゆみ「中国語における“把”構文についての『処置のむすびつき』-連語論の観点から」

研究発表概要

  1. はじめに
  2. 処置のむすびつき」の分類
  3. 「処置のむすびつき」と名付け理由について
  4. 「処置のむすびつき」と各「むすびつき」の相違点について
  5. おわりに

講演

鈴木康之「あらためて国際連語論学会を考える」

 

国際連語論学会2015年10月定例月例会のご案内

ヒトとテーマ
研究発表
神野智久「連語論と認知言語学」
洪安瀾「存在文と“在字句”について」
講演
鈴木康之「連語の構造の中の抽象名詞」
時間
10月17日(土)午前10時~午後3時(予定)
場所
大東文化大学板橋キャンパス1号館5階0517演習室(パソコン室の隣り)

 今月の月例会は、10月後半に刊行予定の『研究会報告』に併せて、投稿者が発表し、意見を寄せ合う予定です。ふるってご参加ください。

~午前~
時間発表者
午前10時~11時神野智久(大東文化大学(院))
午前11時15分~12時15分洪安瀾(大東文化大学(院))
お昼休み(~13時30分)
~午後~
午後13時30分~14時30分鈴木康之先生(大東文化大学名誉教授)
時間配分
発表時間:40分 質疑応答:20分

発表タイトル&概要

鈴木康之:「連語の構造の中の抽象名詞」

神野智久:「連語論と認知言語学」

 日本語の場合、事象の類型と対応を持つ格構成が構文とみなされる。こういった格構成の分析は、日本語学では連語論的アプローチ (Collocational approach)と呼ばれ(深田・仲本.2008:255)、認知言語学における構文文法に先取りする発想と見なすことができる。本発表では、認知言語学の観点から連語論に批判的検討を加え、連語論の発展に寄与することを目指す。

洪安瀾:「存在文と“在字句”について」

(1) 床上躺着一个人。→(有)一个人在床上躺着。(宋玉柱2007:99)

ベッドに誰か一人が横になっている。→誰か一人がベッドに横になっている。(筆者訳)

(2) 街上跑着两辆汽车。→(有)两辆汽车在大街上跑着。(宋玉柱2007:99)

大通りには走っている車が二台ある。→二台の車が大通りを走っている。(筆者訳)

 例(1)、(2)のように、現代中国語の存在文は一般に“在字句”に書き換えることができる。存在文から書き換えられた“在字句”は、存在文の客語を文頭に用いるが、存在文と同じ出来事を表す。この“在字句”は有情物の動作(例2の“汽车”も有情物扱いであろう)を意味するのに対して、存在文はそのモノの動き(状態)を表している。例(1)は静的な状態であり、例(2)は動的な状態である。存在文と“在字句”(例1,2のような兼語文の場合も含む)は、文レベルでは異なる角度から同じ出来事を表している。そして、連語レベルでは、文中の「連語」が同じ出来事を表していると言えよう。

 本稿では現代日本語文法連語論の概念を活用し、存在文と“在字句”に用いる「連語」の共通点についての分析を試みる。

 

国際連語論学会2015年9月定例月例会のご案内

日時
2015年9月26日(土)14:00~17:00
会場
大東文化会館k-402(東武東上線東武練馬駅下車徒歩4分)

1.発表者
神野智久(大東文化大学・院)
テーマ
連語論と構文文法―日本語と中国語における「とりつけ」事象と「とりはずし」事象の比較を通して―
要旨
日本語の場合、事象の類型と対応を持つ格構成が構文とみなされる。こういった格構成の分析は、日本語学では連語論的アプローチ(Collocational approach)と呼ばれ、構文文法を先取りする発想と見なすことができる(深田・仲本.2008:255)。そこで、本発表では、日本語と中国語における「とりつけ」事象と「とりはずし」事象を例に、連語論と、構文文法(Goldberg.1995)の相違点を概観する。

2.講演
鈴木康之(国際連語論学会顧問)
講演テーマ
単語のくみあわせでの抽象名詞
 

国際連語論学会2015年7月定例月例会のご案内

※7月4日にも6月定例月例会がございますので、あわせてご参加ください。

日時
7月11日(土)午後2時から5時
場所
大東文化会館K-403
ヒト
何龍(愛知淑徳大学大学院グローバルカルチャーコミュニケーション研究科博士後期課程2年 兼 愛知淑徳大学 非常勤教師)
鈴木康之(大東文化大学名誉教授)
テーマ
研究発表「日中同形語の連語形式について―「感染」を例として―」
講演「抽象名詞[かたち][すがた]について」

研究発表概要

 本研究は日中同形語「感染」を例として、母語の影響の表れの一つ「日中同形語の連語形式」について検討する。日本語コーパスの『現代日本語書き言葉均衡コーパス』と中国語コーパスの《国家语委现代汉语平衡语料库》による検索の研究手法を用いて、先行文献の統計基準を受け継ぎ、日中同形語「感染」の有意な連語形式を抽出する。さらに、「中国人の日本語学習者が母語の影響を受ける」という視点から、日中同形語「感染」とその連語形式の関係を分析する。その結果、中国人の日本語学習者は母語の連語形式から正の影響を受け、日中同形語「感染」を正しく使うことが分かった。そして、中国人の日本語学習者は母語から正の影響を受け、その連語形式と補足関係を持つ日本語「感染」を正しく使うことも判明された。一方、中国人の日本語学習者は母語から負の影響を受け、「感染」と並立関係を持つ連語形式を過少使用恐れのあることも分かった。さらに、中国人の日本語学習者は日中両言語において、日中同形語「感染」の日中両言語における違うイメージに影響され、誤用を起こす可能性のあることが判明された。

 

国際連語論学会2015年6月定例月例会のご案内(7月に実施)

※6月は公務繁多のため、月例会を開催できませんでしたので、下記の要領により、7月に2回開催いたします。

日時
7月4日(土)午後2時から5時
場所
大東文化大学板橋校舎1号館5階(パソコン室隣りの院生教室)
ヒト
高橋弥守彦(大東文化大学)
鈴木康之(大東文化大学名誉教授)
テーマ
研究発表「中日両言語における使役表現と使役文の意味分類」
講演「20世紀中期の日本の言語学」

研究発表概要

 言葉は現実を反映するので、どの言語であれ、主体を文頭に置く言語であれば、一つの現実に対して主体と客体との意味関係によって、主体が決まり一つの文が作られる。ここには異なる種類の文で作る一つの文体系がある。中日両言語は文の体系から見れば、共通する種類の文が複数あると同時に、異なる種類の文も複数あり、それぞれ独自の文体系を作っている。両言語を比較すると、両者の異同と特徴が出てくる。

 中日両言語の使役表現は客体に対する主体のはたらきかけが基本なので、主体の意思の明瞭性を軸にして、筆者は中国語の使役表現を3用法に分け、日本語のそれも3用法に分ける。ただし、日本語の使役文は客体に対する主体の明瞭な意思を「はたらきかけ」とし、不明瞭な意思を「放任」「許可」の2類に分け、無意思を「起因現象」「再帰現象」の2類に分ける。なお、主体と客体となる名詞は生命体4類と非生命体6類に分ける。

 

国際連語論学会2015年5月定例月例会のご案内

場所
大東文化大学板橋校舎1号館5階(パソコン室の隣りの教室)
日時
2015年5月16日(土)13:00~17:00
ヒト
李鵬(大東文化大学博士後期課程)
鈴木康之(国際連語論学会名誉会長)
テーマ
研究発表「中国語における結果複合動詞V1とV2に見られる統語関係―Small clauseの分析を視野に入れて」
講演「私たちの言語学研究の原点について」

研究発表要旨

 本発表は現代中国語の結果構文に用いられる結果複合動詞(Resultative Compound Verbs)の生成過程に注目し、基底生成の段階でV1とV2に見られる統語関係、およびその関係に関わる要因を明らかにさせようとするものである。先行研究によって、前項動詞のV1と後項動詞(一部形容詞も入る)のV2の間には以下二通りの統語関係が見られることが分かっている。

①前項動詞のV1がV2を含む小節(Small clause)を補文に取る、即ち[V1[sc NP V2]]。このタイプの関係を取る語例としては例えば、“喝醉”“走累”“骂哭”“睡坏”“唱哑”が挙げられる。

②後項動詞のV2が基底生成ではV1を含む小節を補文に取る、即ち[V2[sc V1 NP]]。このタイプの関係を取る語例はV2の意味指向により、二種類に分けることが出来よう。1)前項動詞V1のアスペクトと見なすことができるタイプ:V1完/了/过/着というタイプ。2)RCVの動作主読み(agent-oriented)が取れるタイプ:V1惯/腻/烦/累(このうち、V2が“烦”“累”の場合は文全体が両義文として捉えることもある)。が、この統語関係を決める要因は先行研究では見られず、不明瞭であるため、本発表ではこれに対し一つの答えを想定し、論を進める。

キーワード:基底生成 結果複合動詞 Sc分析 統語関係

 

国際連語論学会2015年4月定例月例会のご案内

ヒト
李鵬(大東文化大学博士課程)、鈴木康之(大東文化大学名誉教授)
テーマ
研究発表:中国語における結果複合動詞V1とV2に見られる統語関係―Small clauseの分析を視野に入れて
講演:単語の意味と連語の構造について
日時
4月18日(土)13:00~17:00
場所
大東文化会館K-402

研究発表要旨

 現代中国語の結果複合動詞(Resultative Compound Verb)は通常、前項動詞のV1と後項動詞(一部形容詞も入る)のV2から成り立ち、両者の間には以下二通りの関係が見られる:その一は前項動詞のV1が基底構造においてはV2を含む小節(Small clause)を補文に取る、即ち[V1[sc NP V2]]或いは[V1[sc V2 NP]]。その二は一と逆のケース、後項動詞のV2が基底構造においてはV1を含む小節を補文に取る、即ち[V2[sc NP V1]]或いは[V2[sc V1 NP]]。一の関係を取るRCVは前項動詞と後項動詞の間には意味関数のCAUSEが介在することを前提としている。例えば、“喝醉”“走累”“骂哭”“睡坏”“唱哑”等はこういうタイプである。二の関係を取るRCVはa後項動詞は前項動詞のアスペクトと見なす事ができるタイプ:“完”“了(音:liao(215) )”“过”など、b後項動詞は前項動詞の量的指標を表すもの:“光”“着(音:zhao(35))”“到”等、c後項動詞はRCVの動作主(agent)読み(agent-oriented)が取れる場合:“惯”“腻”“烦”“累”等の三つの具合が見られる。本稿は前項動詞と後項動詞に見られるこのような関係を裏付ける理論的根拠を提示し、中国語のRCVの生成過程を更に詳しく指摘しようと考える。

 

国際連語論学会2015年3月月例会のご案内

ヒトとテーマ(その1)
高橋弥守彦
研究発表「使役表現における中日両言語の視点について」
ヒトとテーマ(その2)
鈴木康之
講演「名詞の意味と連語の構造について」
日時
2015年3月14日(土)14:00~17:00
場所
大東文化会館K-403

研究発表要旨

 本発表では、先行研究と実例を分析することにより以下の3点について検討する。

  1. 中日両言語における使役表現の視座と視点および使役義を表す連語と文との関係を明らかにする。
  2. 中日両言語の文体系から中日両言語の使役表現とその用法を分析する。
  3. 中国語は使役表現が多く、日本語は使役文が少ないが、その理由について検討する。
 

国際連語論学会2015年2月月例会のご案内

研究発表者
小路口ゆみ
「現代中国語“把”構文における“都”の位置について」
日時
2015年2月14日(土)13:00~15:00
場所
大東文化会館K-403

file発表要旨

 

国際連語論学会2015年1月月例会のご案内

研究発表者
洪安瀾(大東文化大学大学院博士後期課程)
「存在表現ととりつけのむすびつき―中国語静態存在文に用いる動詞連語について―」
講演
鈴木康之(大東文化大学名誉教授)
「文学と言語の関係について」
日時
2015年1月17日(土)12:00~
場所
大東文化会館K-403

洪安瀾「存在表現ととりつけのむすびつき―中国語静態存在文に用いる動詞連語について―」要旨

 中国語の静態存在文は状態を表す文であるが、文中は動作を意味する動詞連語を用いる。

(1)沙发上躺着一个人。『文法概論』(1993:329)
    ソファに誰かがひとり横になっています。(同上)
(2)大门上挂着一块木牌。(同上)
    正門に一枚木の札が掛かっています。(同上)
(3)他的头上挂着一朵红花。(同上)
    彼女の頭に赤い花が1輪さしてあります。(同上)
(4)枕套上绣着两朵大菊花。(同上)
    枕カバーに大きい菊の花が2輪刺繍してあります。(同上)
(5)菜园里种着不少黄瓜。(同上)
    畑にたくさんのキュウリがつくられています。(同上)
    畑にたくさんのキュウリが植えられている。(筆者訳)

 『文法概論』(1993:329)に取り上げた例文はいずれも動詞連語を用い、文は動詞連語が意味している出来事が終結した後に、結果的に動作の対象物が、主語が表す場所に現れ、存在する。鈴木康之(2011)には、例(1)は「立ち居のむすびつき」であり、例(2)は「とりつけのむすびつき」である。例(3)は「再帰的なとりつけのむすびつき」であり、例(4)、例(5)はモノコトを製造、栽培する動作を表し、動作が持続する時間が比較的に長く、「作り出しのむすびつき」である。

 動詞連語自体は一種の具体的な出来事を表しているが、静態存在文に入るとモノが存在の「原因」をしめし、文はこの出来事の結果を表す。連語論の角度から、文中が示す出来事を分析し、静態存在文に用いる動詞連語の特性をまとめる。

 

国際連語論学会2014年12月月例会のご案内

研究発表者
劉爾瑟(大東文化大学大学院博士後期課程一年)
「日本語の語彙上の受身表現について」
講演
鈴木康之(大東文化大学名誉教授)
「奥田靖雄・大久保忠利の言語教育論争」
日時
12月20日(土)14:00~17:00
場所
大東文化会館K-401

劉爾瑟「日本語の語彙上の受身表現について」要旨

 本稿は現代日本語の受身表現に関する先行研究に基づき、主に鈴木康之(1977)の説を参考とし、受身文の再分類を試みた。ヴォイス体系に視点を当て、日本語の受身文を直接対象の受身文・相手の受身文・持ち主の受身文・第三者の受身文・語彙上の受身文という五種類にまとめた。具体的な例は以下のとおりである。

(1) 三郎が次郎に殴られた。(直接対象の受身文)
     三郎被次郎打了。
(2) 花子がイヌに噛みつかれた。(相手の受身文)
     花子被狗咬了。
(3) 次郎が太郎に自転車を壊された。(持ち主の受身文)
     次郎被太郎弄坏了自行车。/次郎的自行车被太郎弄坏了。
(4) 兄は雨に降られた。(第三者の受身文)
     哥哥被雨淋了。
(5) 動物園から逃げたライオンが捕まった。(語彙上の受身文)
     从动物园逃出来狮子被抓住了。

 例文(1)(2)(3)には、それらと対応できる能動文が存在するが、例文(4)と(5)には、例(1)(2)(3)と同様な対応形式で対応できる能動文がない。本稿では、例文(5)のような語彙上の受身文に注目し、詳しい分析を行う。つまり、「れる・られる」が使われず、受身義を表わせる「無標記受身文」について検討する。劉振泉(2003)では、受身義を表わせる動詞を「受身動詞」と名付け、「授かる、おそわる、抱かる、助かる、言いつかる、かぶさる、ゆだる、みつかる、仰せ付かる、つかまる、もてる」などの動詞が挙げている。「受身動詞」で作られる受身文は、中国語における語彙上の受身文とは、どのような対応関係にあるのであろうか。

 

国際連語論学会2014年11月月例会のご案内

研究発表者
高橋弥守彦(受身表現に関する日中両言語の視点について)
講演
鈴木康之(奥田靖雄の連語研究の経緯)
日時
11月15日(土)14:00~17:00
場所
大東文化会館K-404

高橋弥守彦「受身表現に関する日中両言語の視点について」要旨

 主として名詞と他動詞を対象にしたグリーンバーグ(1963)による言語類型論の観点から、中国語は「SVO」、日本語は「SOV」と言われている。筆者は、「言葉の世界は現実を反映する」という観点から、どの言語にあっても文を作るのに大切な役割を果たす名詞・動詞・形容詞を対象にし、世界の言語を三段階に系統化し、文を文成分別に分類し体系化する言語類型論をたて、グリーンバーグと同様にやはり世界の言語を6種類に分ける。

 世界の言語を三段階に系統化する筆者の振り子理論によれば、中国語は「SPO」、日本語は「SOP」である。この理論によっても中日両言語で文型が異なることは一目瞭然だが、視座と視点の観点を導入し、なぜこのような文型になるのかと、この文型の違いが中日両言語にいかなる違いをもたらすのかを本稿により明らかにする。

 これとは別に、日本語では待遇表現が発達しているが、中国語では待遇表現はほとんど見られない。主として尊敬語・謙譲語・丁寧語からなる待遇表現は相手を意識した表現である。やはり視座と視点の観点を導入し、中日両言語では、なぜ待遇表現がこれほどまでに異なるのかを本稿で明らかにする。

 

国際連語論学会2014年10月月例会のご案内

研究発表者
費麗鴻(大東文化大学博士前期課程2年)
講演
鈴木康之(大東文化大学名誉教授)
日時
10月18日(土)14:00~16:30
場所
大東文化会館k-403
概要
file添付資料のとおり

 お時間のある方は誰でも自由に参加できます。奮ってご参加ください。 

 

国際連語論学会2014年9月月例会のご案内

発表者
神野智久(研究発表)、鈴木康之(講演)
テーマ
連語による動詞の意味への働きかけについての一考察-各連語の隣接性を視野に入れて-、本位田重美の連語論をめぐって
日時
9月20日(土)14:00~17:00
場所
大東文化会館K-301
概要
file添付資料のとおり

 お時間のある方は誰でも自由に参加できます。奮ってご参加ください。 

 

国際連語論学会2014年7月例会報告

発表者
洪安瀾(大東文化大学博士後期課程)
テーマ
“种着树”が「遠」、“种了树”が「近」について

file概要と報告

発表者
劉爾瑟(大東文化大学大学院博士後期課程一年)
テーマ
“被…给…”式における“给”について―“给”の方向性について―

file概要と報告

発表者
小路口ゆみ(大東文化大学博士前期課程二年)
テーマ
中国語の“把”構文における“把”の「客体」についての再考―“把”の「客体」の「特定」について―

file概要と報告
 

国際連語論学会2014年7月月例会のご案内

発表者と題名
洪安瀾「“种着树”『遠』、“种了树”が『近』」
劉爾瑟「“被…给…”における“给”について」
日時
7月26日(土)10:00~15:00
場所
大東文化会館K-301
概要
file添付資料のとおり

 発表は質疑応答を含めて、一人各2時間を予定しています。発表の間に昼食の時間を1時間予定しております。

 お時間のある方は誰でも自由に参加できます。奮ってご参加ください。 

 

国際連語論学会2014年6月例会報告

発表者
李鵬 大東文化大学博士後期課程2年
テーマ
中国語の結果を表す動補複合動詞の生成
日時
2014年6月14日(土)午後1:30~3:00
会場
大東文化大学・板橋キャンパス1号館517教室

 当日は国際連語論名誉会長・顧問鈴木康之先生にお越しいただき、発表者に貴重なコメントをして下さった。下記報告の内容を要約しておく。

1.発表者は中国語におけるV1+V2からなる結果を表す複合動詞の生成過程について、V1の非対格性により、生成過程も違ってくると主張している。V1が非対格動詞であれば、複合動詞全体が「主文主語の繰り上げ」により生成され、一方V1が非能格動詞であれば、複合動詞全体が「主文主語のコントロール」により生成されるというこ観点ある。これついて、鈴木先生からは結論の当否はともかくとし、結論を証明する過程において、まだ粗い面が見られ、今後の研究、博論の執筆を考慮する上で、もっと慎重にやるべきだとコメントを頂いた。

 具体的には、V1が非対格動詞であれば、主文主語は動詞項内、いわば動詞の内項に相当する位置に基底生成の段階では生成されているが、その次のV2がV1への編入(incorporation)は中国語では果たして許されるのか、という点である。これと同じように、V1が非能格動詞であれば、主文の主語が動詞項の外項に基底生成の段階で生成されているが、その次の段階の編入過程もV2がV1への移動だと思われるが、中国語ではこのような移動が許されるだろうかかという極めて根本的、大事なるお言葉であった。これに対して、発表者は鈴木先生からのご指示を指針にし、今後の研究ではもっと慎重に論証をするとの態度を表明したとのことである。

2.中国語での同じタイプの複合動詞は違う文法性格をもつと今回の発表では触れている。同じタイプとは「V1とV2の自他動詞性」と「複合動詞全体の自他動詞性」である。V1が他動詞で、V2が自動詞、複合動詞全体が他動詞として認められるものには“骂哭”(罵言を浴びせ、相手を泣かせる)と“推开”(押し開ける)“唱哑”(歌を歌い、その結果喉を枯らしてしまう)のタイプが挙げられているが、前者の“骂哭は非対格化の用法が備わっていないのに対し、後の2つはどちらも非対格化ができる。

(爸爸骂哭妹妹了)*妹妹骂哭了。
(他推开门了)门推开了。  (他唱哑嗓子了)嗓子唱哑了。

 この違いの理由については今後の課題とし、引き続き中国語における非対格動詞の研究に励むという発表者の意思表明に対し、鈴木先生はこのような違いが生じる理由は色々考えられるが、言葉の伝達機能から考えると、場面性も考慮すべきだとコメントを下さった。いずれにし、非常に有意義なテーマであることを認めてくださった。

 

国際連語論学会2014年6月月例会のお知らせ

 国際連語論学会6月例会を下記のとおり開催いたします。奮ってご参加のほどよろしくお願いします。

研究発表者
李鵬(大東文化大学大学院 中国言語文化学専攻 博士後期課程二年)
テーマ
中国語における結果を表す動補動詞の生成過程
日時
6月14日(土)午後1:30~3:00
場所
板橋校舎1号館1‐0517教室

発表要旨

 本稿は「非対格仮説」(Unaccusative Hypothesis)、繰り上げ構文(Raising Construction)、コントロール構文(Control Construction)を理論の根拠とし、従来論じられてきた非対格性(Unaccusativity)と非能格性(Unergativity)の意味特徴を明らかにした上で、中国語における結果を表す動補動詞の生成過程との繋がりを論じるものである。本稿では、V1+V2型の動補複合動詞のV1がもつ非対格性、非能格性のいずれかにより、その生成過程が異なるということを論じる。

 V1が非対格動詞であれば、動補複合動詞を含む文は(主文動詞主語の)繰り上げにより生成され、V1が非能格動詞であれば、動補複合動詞を含む文は主文動詞主語のコントロールにより生成されると考える。80年代第二期の生成文法における成果の一つである「非対格仮説」、「繰り上げ構文」および「コントロール構文」の考え方は影山太郎(1993)や長谷川信子(1999)により、日本語への応用ではすでに成功している。本稿では、中国語へのそれらの応用を目的としている。

 

国際連語論学会2014年5月例会報告

発表者
劉会禎(北京外国語大学・博士後期課程)
テーマ
日中対照から見る因果表現と目的表現の連続性について―「タメ(ニ)」と“由于”“为了”を中心に―
司会
高橋弥守彦

内容

 日本語の「タメニ」は因果表現と目的表現を表し、よく中国語の因果表現を表す“由于”と目的表現を表す“为了”と対応している。本発表では、日本語の「タメニ」と対応する中国語表現の全体像を明らかにし、その中心となっている“由于” “为了”との対応関係の報告が詳細になされた。

 発表者は、論文の研究目標を「因果表現の教育」に定めている。そのために日本語の接続助詞「タメニ」と、中国語の因果表現を表す場合によく用いられるマーカー“由于”“为了”を中心に、目的表現と目的表現の連続性を解明し、「タメニ」を「目的性因果表現」と位置づけている。

 会場からは全体的には「よくまとめてある」という評価であったが、「教育を目標にそえると問題が出る」という旨の指摘が二点あった。

 第一点は、発表者は、「談話を中心に分析する」という、いわばトップダウン型の研究方法をとっているものの、従来の文法教育は、例外なくボトムアップ型の形式をとっている。これはつまり、教育では、まず対象となる文法項目の基本的意味を定め、それから語用をみる、というものである。談話というものはいわば「形のないもの」であり、分析するのには極めて難易度がつきまとうというのが、その問題点である。

 第二点は、中国語の複文では“因为”“所以”のようなマーカーがなくても、“肚子饿了,想回家(お腹が空いたから、家に帰りたい)”のように、因果表現を表すことができる。しかし、発表者がとった方法というのは、「タメ(に)」と“由于”を、同列のレベルで論じるものであり、ここに問題があるのではないだろうか、という指摘である。この点において、今回の研究発表は因果関係の中心となる部分であったが、全体ではなかったので、発表者の論文にあるいくつかの問題点が浮き彫りになったかのように感じられたが、これは日中両言語における因果表現の体系的な対応関係を明らかにすれば解決されるであろう。

 発表全体としては、よくまとめてあったが、「この研究をどのように日本語教育に活かせるのか」というのが、参加者の疑問として残るところとなった。これに対し、発表者は、この点を踏まえ会場の意見を参考に、日本語の因果表現と中国語の無標因果表現との対応関係などを今後の研究課題とし、因果関係における日中両言語の対応を体系的にまとめたいと述べた。今回を含め、これまでの研究成果を見ると、この研究が体系的にまとめられる日も近いであろう。そうすれば間違いなく教育の場に活かされることであろう。

 

国際連語論学会 2014年5月月例会のお知らせ

ひと
劉会禎(北京外国語大学・博士後期課程)
場所
大東文化会館K-403
日時
5月10日(土)13:30~15:00
テーマ
日中対照から見る因果表現と目的表現の連続性―「タメ(ニ)」と“由于”“为了”を中心に―

要旨

 日本語の「タメ(ニ)」は因果表現と目的表現の両方を表すことが出来る。従来の研究では「前後文の時間関係」または「意志性」或いは「意図性」から「タメ(ニ)」の二つの用法を区別してきた 。本稿は日本語の「タメ(ニ)」と中国語の“由于”“为了”を研究対象とし、その対応関係を明らかにした上で、日中対照研究の角度から“動機表現”を通して因果表現と目的表現との連続性を明らかにするものである。結論は以下のようにまとめられる。

①因果表現の“由于”文と「タメ(ニ)」文は“事実の原因”と“行為の理由”を表すことが出来る。しかも、確実な原因を表すと同時に不確実な原因も表す。

②目的表現の“为了”文と「タメ(ニ)」文は「目的+動作」と「動作+目的」の二つのタイプがある。“为了”文はその二つのタイプの割合は大体同じであるのに対して、「タメ(ニ)」は主に「目的+動作」のタイプで、「動作+目的」の例はより少ないである。

③“为了”文は「“由于”文+動機表現」の因果表現になれるのと同じように、目的表現の「タメ(ニ)」文は「動機表現+タメ(ニ)」の因果表現になれる。「タメ(ニ)」文は「目的性因果表現」と名づけることができよう。

 

国際連語論学会 2014年4月月例会のお知らせ

日時
4月26日午後3時~5時
場所
大東文化会館 K-402
発表者、所属
神野智久(大東文化大学博士後期課程)
テーマ
「空間がかかわるものへの働きかけ」の表現の導入

概要

 「空間がかかわるものへの働きかけ」に関する記述は、我々の生活に根ざし、一定の構文的なカテゴリーに属するものの、中国語のテキスト、参考書、学習書で取り上げられることは、決して多くはない。連語論を代表する研究である鈴木康之(2012)に基づけば、該当するフレーズは以下のようになる。

①場所に)(ものを)とりつける 例)本を本棚に置く。

②場所から)(ものを)とりはずす 例)本棚から本をとる。

③場所①から)(場所②に)(ものを)うつしかえる 例)ダンボールから本棚に本を移す

 上記の「とりつける」「とりはずす」「うつしかえる」というのは、抽象的なレベルであり、動詞、或は動詞フレーズの中心的意味は、「ものにはたらきかけて、場所に(場所から)ものを移動させる」となる。発表者の調査によれば、上記①~③に当てはまる中国語表現のうちで、テキストや参考書では①が簡潔に触れられる程度である。そこで本稿は、実例から①~③に該当するフレーズを記述し、その上でどのように教学に活かしたらよいのかを打診することにする。

 

国際連語論学会2013年12月例会のお知らせ

日時
12月21日(土)13:00~15:00
場所
大東文化会館k-402
ひと
研究発表:小路口ゆみ(大東文化大学大学院博士前期課程)
講演:鈴木康之(大東文化大学名誉教授・国際連語論学会名誉会長)

発表テーマとレジュメ:中国語の“把”構文における“把”の「客体」について

 “把”構文“名词1+把+名词2+动词+其他成分”中の「処置のむすびつき」“把+名词2+动词+其他成分”は“把”の客体を処置するということであり、以下の例文(1)のように、“把”の客体は、一般に特定の名詞だと見なされている。

(1)她把双臂浸泡在消毒酒精水桶里。         (语料库《人到中年》)

 それから両腕をすっぽりアルコール液にひたした。  『中年に到るや』

(2)把她放在床上,替她盖上被子。         (语料库《人到中年》)

 ベッドに寝かせ、布団のはしを押さえてやった。

(3)我把我的心留在你身边,留在我亲爱的祖国。    (语料库《人到中年》)

 私の心はあなたの傍に、愛する祖国に置いていきます。

(4)没有把秦波的刁难,视为难以忍受的凌辱。     (语料库《人到中年》)

 副部長夫人の嫌がらせも我慢のならない侮辱だとは見ていなかった。

(5)要把谈话认真地进行下去。      (语料库《人到中年》)

 身を乗り出し、本腰で話し始めた。

 考察した結果、上掲の例文に見られるように、“把”の客体は代詞(例2)、名詞連語(例3,4)、動詞(例5)がなる場合もある。なぜこれが可能かについては高橋(2013)の枠組み理論による。高橋の枠組み理論を応用すれば、“把”の客体は名詞のほか、動詞や形容詞もそれが可能である。連語でもそれが可能であり、高橋は名詞を核とする名詞連語が客体になる場合を基本名詞連語と言い、そのほかは派生名詞連語と言っている。

講演テーマとレジュメ:連語論の多様性

 連語論に対する多様な観点のある現状を紹介する。

 

国際連語論学会 2013年11月例会報告

発表者
神野智久
タイトル
「もようがえ」と「とりつけ」「とりはずし」の隣接性-連語論における構造と意味の再考-

 発表者は、『現代日本語の連語論』において提起されているむすびつき同士の隣接性について、これからの連語論のなすべき課題として問題提起をした。

 「とりつけのむすびつき」「とりずしのむすびつき」「うつしかえのむすびつき」は、同一の「ものへの空間的なはたらきかけを意味する連語」としてカテゴライズされているが、発表者は「意味の隣接性」に着目し、「もようがえのむすびつき」「とりずしのむすびつき」「とりつけのむすびつき」をとりあげた。

 発表者の内容について、鈴木康之先生は「これからもっと言語事実を深く見る必要がある」とし、『現代日本語の連語論』において記述されていないご自身の考えを、参加者に話した。

 発表者の内容に対して、問題提起をしたことに評価がくだされたようであるが、「問題提起だけでなく、解決もしてほしかった」という声もあった。そこは今後の研究にかかっているだろう。

 

国際連語論学会 2013年11月例会のお知らせ

ひと
鈴木康之、李鵬
日時
2013年11月9日(土)15:00~17:00
場所
大東文化会館k-302
講演
鈴木康之「モノの動きを意味する動詞連語について」
研究発表
李鵬
テーマ
日本語と中国語における複合動詞のアスペクトについて
要旨
本発表では、日本語と中国語のVVC(動詞プラス動詞)型複合動詞について、語彙概念構造の観点から、前項動詞・後項動詞と動詞全体のアスペクト解釈について考察した。その結果、日本語と中国語の複合動詞は、いずれも後項動詞と同じアスペクト解釈を受けている事が判明、複合動詞のアスペクトは後項動詞から受け継がれるといえる。
 

国際連語論学会 2013年10月例会のお知らせ

日時
2013年10月19日(土)午後2時30分~5時30分
場所
大東文化会館(東武東上線 東武練馬駅下車 徒歩約3分)K-403
活動
講演:鈴木康之(大東文化大学名誉教授)「奥田靖雄の『ヲ格の論文』と『ニ格の論文』について」
研究発表:劉爾瑟(大東文化大学修士課程2年生)「“被…给…”式における“给”の再考―“给”の方向性について―」

研究発表要旨

“被…给…”式における“给”の再考―“给”の方向性について―
Reconsideration of “gei” in “bei...gei...” About the course of action indicated by “gei”

大東文化大学中国言語文化学専攻博士課程前期2年 劉爾瑟

 中国語における受身表現の一つに“被字句”がある。高橋弥守彦によれば、“被字句”の文構造は体系的に四種類に分けられる。その中の派生構造「名詞1+“被”+名詞2+“给”+(名詞3+)動詞+その他」について、筆者は“被…给…”式と呼ぶこととする。

  1. 门被张三给我锁上了。(《中国语文》2008年第6期:536)
  2. 门被张三给它锁上了。(《中国语文》2008年第6期:536)
  3. 他被/让/叫这本人物传记给吸引住了。(梁鸿雁2004:219)

 これまでの“给”に関する先行研究によると、“被…给…”式における“给”は「文法的にあってもなくてもよい」という説が主流である。それに対し、「意味的に語気を強める働きがある」という説を支持している学者も少なくない。つまり、“被…给…”式における“给”は受動の意味を強めること以外に、その他の役割はほとんど認められていないと言える。しかし、佐々木勲人は動詞句直前の“给”には、動作・行為に対し積極的に臨む動作者の存在を示すと同時に、その影響を蒙る対象の存在を強く意識させるという点において、二重の方向性が存在する、そしてこのことが受動文の成立を支え得る要因であると述べている。本稿では、佐々木の二重方向性理論を確かめると同時に、その文法条件を解明する。

 

国際連語論学会 2013年7月例会のお知らせ

日時
2013年7月20日(土)午後1時~4時
場所
大東文化大学 板橋校舎 1号館517教室(5階・パソコンルームの隣り)
交通
大東文化会館(東武東上線 東武練馬駅下車 徒歩約3分)より「学バス」が運行しています
活動
研究発表:楊玉玲「日本語名詞句における「の」の機能について」
講演:鈴木康之「奥田靖雄『単語のくみあわせの理論』について」
※研究発表と講演はそれぞれ1時間半です。
 

国際連語論学会 2013年6月例会報告

6月の月例会は以下の通りの研究発表と講演(鈴木康之「連語研究の理解のために」)がありました。 

日時
6月8日(土)午後1時から4時、研究発表と講演各1時間半
場所
大東文化会館K-402

研究発表:「“被字句”における構造助詞“的”を用いる受け手主語について」

報告者
大東文化大学中国言語文化学専攻博士前期課程2年 劉爾瑟

 6月の連語論月例会では、“被字句”における構造助詞“的”を用いる「受け手主語」について発表させていただきました。

 中国語の受身表現は、一般に“被字句”、意味上の受身表現、語彙上の受身表現の3種類に大別できます。高橋弥守彦(2013)によれば、“被字句”の構文構造は全部で4種類に分けられます。本稿では、“被字句”における構造助詞“的”を用いる受け手主語について検討します。そして、取り上げる構造助詞“的”を用いる受け手主語の“被字句”は、その「持ち主」を“我”に限定することとしました。つまり、「“我”+“的”+N+“被”+仕手+動詞(+その他)」構造で作る “被字句”を研究対象とします。

 収集してきた実例は全部で768例です。それらの例文におけるNP(名詞連語)の中心語Nについて、筆者は心理名詞、属性名詞、行為名詞、身体名詞、物品名詞、有情物名詞という6種類に分けました。その中では、心理名詞、属性名詞と行為名詞は抽象名詞に属し、身体名詞、物品名詞と有情物名詞は具体名詞に属しています。そして、以上挙げたデータを分析すると、構造「“我”+“的”+N+“被”+仕手+動詞(+その他)」におけるNの分類結果として、Nは抽象名詞である場合がほぼ全体の半分ということが分かりました。さらに、“我的”の後ろに最も来やすい名詞は心理名詞という傾向がはっきり見えます。

 以上述べた内容に対し、出席した先生方から、いろいろと貴重なご意見を聞かせていただきました。主要な意見は以下の2点です。

  1. Nの傾向を分析するとき、動詞も考察する必要があると指摘してくれました。ある特定な動詞があるからこそ、心理名詞がよく出てくるとおっしゃいました。
  2. 鈴木康之先生は平安時代から現代まで日本語の自他動詞の発展について詳しく説明してくれました。
以上
 

国際連語論学会 2013年6月例会のお知らせ

日時
2013年6月8日(土)午後1時~4時
場所
大東文化会館 K-402
交通
東武練馬駅より徒歩5分
活動
研究発表:劉爾瑟「“被字句”における構造助詞“的”を用いる受け手主語について」
講演:鈴木康之「連語研究の理解のために」
※研究発表と講演はそれぞれ1時間半です。

研究発表

劉爾瑟(大東文化大学中国言語文化学専攻博士課程前期2年)

“被字句”における構造助詞“的”を用いる受け手主語について(Concerning the patient subject which using the auxiliary word "de" in "Beiziju")

概要

 中国語の受身表現は、一般に“被字句”、意味上の受身表現、語彙上の受身表現の3種類に大別できる。高橋弥守彦(2013)によれば、“被字句”の構文構造は全部で4種類に分けられる。本稿では、“被字句”における構造助詞“的”を用いる受け手主語について検討する。そして、取り上げる構造助詞“的”を用いる受け手主語の“被字句”は、その「持ち主」を“我”に限定することとした。つまり、「“我”+“的”+N+“被”+仕手+動詞(+その他)」構造で作る “被字句”を研究対象とする。

 収集してきた実例は全部で768例である。それらの例文におけるNP(名詞連語)の中心語Nについて、筆者は心理名詞、属性名詞、行為名詞、身体名詞、物品名詞、有情物名詞という6種類に分けた。

 その中では、心理名詞、属性名詞と過程行為名詞は抽象名詞に属し、身体名詞、物品名詞と有情物名詞は具体名詞に属していると思われる。そして、以上挙げたデータを分析すると、構造「“我”+“的”+N+“被”+仕手+動詞(+その他)」におけるNの分類結果として、Nは抽象名詞である場合がほぼ全体の半分ということが分かった。さらに、“我的”の後ろに最も来やすい名詞は心理名詞という傾向がはっきり見える。本稿では、その傾向について検討する。

国際連語論学会 2013年4月例会のお知らせ

日時
2013年4月20日(土)午後1時~4時
場所
大東文化大学 板橋校舎 1号館5階(517号教室:パソコンルームの隣り)
交通
東武練馬駅より大東文化会館(徒歩5分)のち大東文化会館より学バス(6分)・アクセス詳細
活動
研究発表:汪然「他動詞の語彙的使役について」
講演:鈴木康之「連語の構造と単語の意味」
※研究発表と講演はそれぞれ1時間半です。

研究発表

汪 然(WANG Ran)
他動詞の語彙的使役について」(Concerning the Lexical Causation of Transitive Verbs)

キーワード

語彙的使役、他動詞、有対、無対、自動詞

概要

 使役はもともと文法レベルの問題として考えられるが、寺村(1982)から、他動詞を態(ヴォイス)の枠組みに入れて使役の範囲を語彙レベルにも広めた。例えば、

(1)子供が家に帰る。
(2)子供を家に帰らせる。
(3)子供を家に帰す。

 例文(1)を実際に発生した現象とすれば、(2)と(3)は同じ現象を違う側面から語っている文である。ただし、(2)は文法レベルの使役で、(3)は語彙的な使役である。言うまでもなく、(2)と(3)は意味的には多少の違いがあるが、「帰す」が使役の意味を含めていることは確かである。

 同じ他動詞文でも、次のようなものが見える。

(4)警察が犯人を捕まえる。

 「捕まえる」は他動詞なので、使役の意味が現れない。その対応自動詞「捕まる」は「帰る」と違って、受身の意味が見える。つまり、自他動詞対の対応関係によって、他動詞において語彙的使役もあったりなかったりする。また、無対他動詞に対して次の例文を参考にしたい。

(5)学生を通訳に雇う。
(6)マフィアのボスが警備員を殺した。

 例文(5)は、学生が雇われた後、「通訳」として働く。例文(6)は、マフィアのボスが部下に命令して、警備員を殺させた場合にも使える。これも使役現象として扱いたい。

 要するに、本稿では、他動詞に対応する自動詞の有無によって有対他動詞と無対他動詞を分けて対照比較しながら、その語彙的使役性質の有無の相違を明らかにしたい。

国際連語論学会 2013年3月例会報告

発表者
楊玉玲
日 時
2013年3月30日(土)14:00~15:00
テーマ
N1N2構造の分類
発表内容
小説《家》、《人到中年》、《插队的故事》を考察対象にして、N1N2構造を15種類に分けてみた。

会場からの質問と意見

  • 分類を通じて訳文の日本語にどんな特徴が見えたか。
  • 例文収集にあたってどんな点に注意して収集したのか。
  • N1N2構造の分類に当たって、N1とN2の関係付けの仕方を意識して分類したほうがよい。
  • N1N2構造における名詞単語の数と名詞の範囲を詳しく定めたほうがよい。
  • 訳文はしっかりとした直訳文の方がよい。

国際連語論学会 2013年3月例会のお知らせ

 下記により国際連語論学会3月例会を開催いたします。会員の皆様におかれましては、万障お繰り合わせのうえ、ご出席ください。非会員の皆様のご出席も歓迎いたします。

日時
3月30日(土)13:00~16:00
場所
大東文化会館 K‐401 (東武東上線東武練馬駅下車徒歩4分・アクセスマップ
活動
13:00~14:00(学会の組織に関する話し合い)
14:00~15:00(研究発表)
15:00~16:00(鈴木康之先生の講演:「連語の構造に対しての複合語の役割」)

研究発表

名詞的成分における修飾語表記の機能―日中対照の視点から
楊玉玲(北京語言大学博士後期課程)

要旨

 本発表は名詞的成分における修飾表記の有無に注目し、修飾表記の働く機能を日中対照研究の視点から捉えるものである。

 周知のとおり、名詞は現実の世界の中のひときれであり、その対象は一つの事物“学校、桌子”を意味するが、ここでいう名詞的成分とは複合名詞“大学宿舍、出租车司机”と名詞連語“教室里的花儿、今年的收成”を対象としている。また、複合名詞と名詞連語はいずれも典型的な名詞的成分(動詞と形容詞から転生したくみあわせ“春天的到来”“她的漂亮”などを除く)に絞って考察する。

 

国際連語論学会 2013年2月例会のお知らせ

ひと
洪安瀾(大東文化大学大学院博士前期課程2年)
テーマ
“在+空间词”と格付き空間詞の対応関係について
とき
2013年2月23日(土)15:00~17:00
ところ
大東文化会館 K-401 (東武東上線東武練馬駅下車徒歩4分・アクセスマップ
 

Last-modified: 2018-05-07 (月) 21:23:23